令和3年公営企業会計決算特別委員会 本文 2021-10-14
【小木曽史人委員】
令和2年度愛知県公営企業会計決算審査意見書3ページでは、一層経営改善に努められたいと指摘されている。昨年度の決算では、コロナ禍の医業損失は約68億円であるが、コロナ対策関連の一般会計補助金の受入れで医業外収益が大きく増加するなどした結果、経常利益に転じている。昨年度はコロナ禍であり、様々な影響が及んでいると思うが、各病院において、コロナ禍が医業損益及び経常損益に与えた具体的影響は何か。
【がんセンター病院長】
新型コロナウイルスの影響で検診受診者が減ったことや、軽症患者が病院やクリニックの受診を控えたことにより被紹介患者数が減り、当院の新来患者数が減少して収益に影響していると考えている。また、再来患者についても、術後のフォローが必要であるが、患者が感染を懸念して受診を控えたため、入院及び外来ともに患者数が減少したと考えている。
【精神医療センター院長】
当院では精神疾患のある新型コロナウイルス感染症の疑いがある患者及び患者を受け入れるために、専用の病床を確保した。コロナ患者などは個室管理が必要となるため、東2病棟を専用病棟として、50床のうち一部を休床して22床で運用している。また、患者の中には、新型コロナウイルス感染症の感染状況を心配して入院を延期したり、退院を希望したりする人もいるため、患者数が減少している。
外来については、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためデイケアプログラムの一部を中止、縮小したことにより患者数が減少した。
【あいち小児保健医療総合センター長】
病院が全体的に機能停止することはできないため、入院については昨年4月から5月にかけて、診療体制を完全2チーム制にして診療制限を行った。外来については、診療枠の制限や検査の先送りにより受診予約調整を行った。
その結果、入院患者数については4万1,382人と前年度から4,634人、率にして10.1パーセント減少し、外来患者数については8万887人と前年度から9,520人、率にして10.5パーセント減少し、前年度と比較すると経常損益が悪化した。
【小木曽史人委員】
令和2年度愛知県公営企業会計決算審査意見書3ページには累積欠損金が459億1,837万円とあり、非常に厳しい経営状況と指摘されている。昨年度の経常損益黒字化は、コロナ禍という特殊事情に基づくものであり、今後は患者数を増やしていくことが求められる。
一方、キャッシュフローの観点から、令和2年度愛知県公営企業会計決算審査意見書40ページ、41ページの貸借対照表を見ると、流動負債合計が約80億円、うち企業債が約27億円、企業債を除いた流動負債が53億円とあり、流動資産合計が約65億円であることを踏まえると約12億円の余剰があることから、経営的には問題ないとも考えることができる。
そこで、令和元年度に引き続き指摘された累積欠損金について、病院事業庁としてどのように考えているのか。
【経営課長】
累積欠損金は、事業活動によって損失を生じた場合に、繰越利益剰余金等によっても、なお補填ができなかった各事業年度の損失額が累積したものであり、これは病院事業の赤字経営が続いていることを表している。減価償却費など現金支出を伴わないものを原因とする損失により生じた累積欠損金の場合は、資金不足に直ちにつながるものではないが、平成30年度には、資金不足解消のために一般会計から30億円を借り入れ、昨年度にも新型コロナウイルス感染症の影響により、特別減収対策企業債9.2億円の発行、一般会計から3億円の長期借入れを行うなどして事業運営を行っており、厳しい経営状況であると認識している。
【小木曽史人委員】
赤字経営が継続しているという認識で、今後も欠損金を経営改善努力によって減らしていくという姿勢であるということが分かった。
令和2年度愛知県公営企業会計決算審査意見書4ページに記載がある医師数については、令和元年度と比べて改善されているが、まだ病院別で欠員が生じている状況である。
医師確保策と併せて、病院別で今後どのような取組を進めて経営改善を実施していくのか。