令和4年2月定例会(第6号) 本文 2022-03-07

◯一番(小木曽史人君)
 私からは、歳出第三款県民環境費第五項環境対策費の環境活動推進事業費及び資源循環推進事業費について質問をいたします。
 県は、持続可能な愛知の担い手を育成する人づくりを旗印に、これまでも未就学児童、小中学生、高校生、大学生、社会人と各世代に応じた環境学習事業を継続して推進をしており、今回提出された来年度予算案でも環境対策費としておのおの予算計上されていると承知をしております。
 中でも、まず、環境活動推進事業費のうち、環境学習等行動計画推進費に含まれるもりの学舎施設を活用した環境学習の取組についてお伺いをいたします。
 もりの学舎施設は、愛・地球博記念公園内に立地をしており、未就学児童向けのもりの学舎ようちえんというインタープリター自然体感推進事業のみならず、子供から大人まで楽しめるインタープリターによる様々な自然体験プログラムを実施する拠点であります。
 私は、令和元年十二月議会の一般質問で、未就学児童に対する自然環境教育の推進について、その課題と今後の取組拡大の県の考え方をお聞きし、未就学児童プログラムの周知、インタープリター不足の解消、幼保教育現場での環境教育の自前化促進といった課題に対し、しっかりと先を見据え、予算を確保しながら事業を進めていってほしいと要望いたしました。
 当局からは、インタープリターの養成を含めた指導者育成研修の対象を環境学習施設職員等にも拡大し、様々な施設で自然体感学習ができるよう機会の拡充を図っていきたいとの答弁をいただきました。
 また、令和二年三月の県民環境委員会における委員からの質問に対し、もりの学舎施設の利用促進について、各種プログラムの受入れ枠の拡大、プログラムの質のさらなる向上、積極的なPRを通じて来館者数を増やしていきたいと答弁をされております。
 つまり、県としては、積極的なPRとプログラムのブラッシュアップもさることながら、指導者であるインタープリターという人員リソーセスを養成、確保することで受入れ枠を拡大し、取組をより多くの皆さんに周知、体験していただこうとしていると理解できます。
 しかしながら、もりの学舎施設の来館者数は、令和元年度は年間延べ約三万四千人でしたが、コロナ禍で令和二年度は年間延べ約一万一千人、今年度は持ち直しの兆しが見られ、一月末現在で約二万五千人となっていると伺っております。
 一方、もりの学舎の受入れ枠を広げるために必要な人材であるインタープリターは、コロナ禍の中、令和二年度に二十名養成研修を実施したものの、登録者の中にはそれぞれの諸事情で辞められる方もお見えになり、現状、インタープリター登録者数は二年前の五十四名から増加しておらず、むしろ五十名と減少していると伺っております。
 こうした状況の中ではありますが、このもりの学舎施設が立地する愛・地球博記念公園に、いよいよ来年度、ジブリパークが開園します。十一月一日に先行三エリアが開園、再来年度には残り二エリアが開園を予定しており、愛・地球博記念公園にこれまでにない多くの方が来園されると見込まれております。
 これは、県内外の多くの方に公園内にあるもりの学舎施設における自然体感プログラムを含む環境学習の取組をPRし、そして、実際に体験、利用してもらう絶好の機会です。この好機を逃すことなく、もりの学舎施設の活用については、これまで以上にしっかりとビジョンを持ちつつ、計画的、戦略的に取組を進める必要があると考えます。
 そこでお尋ねをします。
 想定されるジブリパーク開園による来園者の増加を踏まえ、今後、もりの学舎施設を活用した取組をどのように実施していくお考えか、もりの学舎施設の利用者増を見据えたインタープリター等、施設人員リソーセスをどのように確保していくのかも含めてお伺いをいたします。
 次に、資源循環推進事業のうち、あいち環境塾の取組について伺います。
 先ほど取り上げた未就学児童向けを含め、小中学生、高校生、大学生への環境学習事業は、どちらかといえば、体験や知識習得をはじめとしたインプットが中心。
 一方、社会人向けのあいち環境塾事業は、その目指す姿として、環境を広義に捉え直し、持続可能な社会及び環境首都あいちの実現に向け、社会への還元を目的に地域で活躍できるリーダーを育成するという、より実社会にコミットした事業であると認識をしております。
 そういった意味で、本事業は、環境を取り巻く諸課題解決のトレンドを取り入れた知識習得としてのインプットもさることながら、具体的課題解決の研究成果を発表し、社会に還元するアウトプットが期待されている内容となっており、御存じのとおり、環境省が後援する二〇二〇年度持続可能な社会づくり活動表彰において、環境大臣賞を受賞しております。
 入塾生は、こうした内容を期待し、自主的に参加費用を負担していることからも、志を高く持っている方が多く、環境分野における課題解決や社会貢献など、自身が思い描く取組の社会還元を強く望んでいると推察できます。
 そして、塾を修了した卒塾生が自らの学びと研究を社会に発信し、リーダー的存在として活躍し、持続可能な社会の構築に向けた取組の輪を広げ、次世代に継承していくといった好循環を生むような仕組みとなっていることがあるべき姿であり、そう考えると、本事業の究極的な評価指標は、卒塾生を何人社会に輩出したかではなく、どれだけの卒塾生が社会で活躍しているかだと言えるのではないでしょうか。
 そこでお伺いをします。
 本事業を発展的に継続実施していくに当たっては、卒塾者が社会でその後どのような活動を実施したかなど、社会とのマッチングを追跡調査して、事業自体が社会ニーズに合った人材育成ができているのか、しっかり評価、分析しつつ、いわゆる社会への還元指標を踏まえて事業内容をブラッシュアップしていく必要があると考えますが、あいち環境塾事業を県としてどのように分析、評価し、来年度に向けて事業を実施していくのか、お聞かせください。

◯環境局長(岡田守人君)
 ジブリパーク開園を見据えたもりの学舎施設を活用した取組についてお答えします。
 もりの学舎は、愛・地球博記念公園内の豊かな自然の中にあり、周辺で採取できる四季折々の虫や植物などを展示するとともに、未就学児童等を対象とした自然体験プログラムの提供を行うなど、誰でも自由に利用していただける施設です。
 特に来館者の多い土日、祝日には、インタープリターと呼ばれる森の案内人と一緒に自然遊びをしたり、木の実などを使って工作を行うなど、ふだん自然と接することが少ない子供たちに楽しみながら学んでいただいております。
 来年度は、十一月のジブリパークの開園により、親子連れをはじめ、多くの方々の来園が期待されており、もりの学舎の利用拡大を図る大きな契機になると考えております。
 そのため、ジブリパークへの来園者に対して、もりの学舎のパンフレットを配布するなど、もりの学舎への来館を促すとともに、フィールドとして活用する自然環境の保全にも留意しつつ、プログラムの回数を増やしたり、来館者のみで自然を楽しむことができるメニューを追加するなどの対応を行ってまいります。
 また、受入れ体制の整備につきましては、二〇〇七年度からインタープリターの養成研修を実施しており、これまで百三十三名のインタープリターを養成してまいりました。コロナ禍の影響等もあり、現在の登録者数は五十名となっておりますが、これら未登録の方に登録を呼びかけるとともに、引き続きインタープリターを養成するなど、受入れ体制を整えてまいりたいと考えております。  ジブリパークの開園を契機に、より多くの方々に御来館いただき、自然環境に対する関心を高めていただけるよう、各種プログラム等の充実に努めてまいります。
 次に、あいち環境塾の取組についてお答えいたします。
 あいち環境塾は、県内の社会人を対象に、資源循環や気候変動など各分野で活躍する第一人者を講師に招き、環境に関連する幅広いテーマについて学んでいただくとともに、二十年後の未来を見据え、塾生同士で議論を行い、地域や社会に向けた提言をまとめるなど、半年間にわたって活動を行うものです。
 卒塾後に行っているアンケート結果では、自分の会社で新たな環境ビジネスを企画、提案できるようになった、地域の環境活動に積極的に参加するようになったといった意見が寄せられており、卒塾後も企業や地域での環境行動につながっているものと考えております。
 また、卒塾生が、生態系の保全や耕作放棄地への植樹といった地域の課題解消に向けて、自主的に実践活動を行ったり、卒塾生の有志や塾生の指導を行ったアドバイザリー講師が中心となって設立したNPOがワークショップを開設するなど、卒塾生の活躍の場も年々増加しております。
 一方、県では、先ほどのアンケート結果やアドバイザリー講師からの意見などを基に、毎年度、事業の評価、検証を実施し、次年度以降のカリキュラムの見直し、改善等を行っております。  例えば、さらなる活躍の場が広がるよう、二〇一九年度からは、卒塾生の主体的な実践活動に対する支援を開始するとともに、今年度から、これからの企業活動で必要とされるSDGsやESG経営に関する専門的な講義を追加したところです。
 来年度は、環境を意識した企業経営やCO2排出量の算定など、より実践的なテーマをカリキュラムに追加することとしており、今後も社会情勢の動きに即した講義内容や、さらなる卒塾生の支援策等を検討しながら、持続可能な社会を支える人づくりを進めてまいります。

◯一番(小木曽史人君)
 御答弁ありがとうございます。
 それぞれについて要望させていただきます。
 来年度、愛・地球博記念公園の来園者増は間違いないと想定される中、現状の受入れ体制を見ると、先ほど申し上げたインタープリターの登録者数五十名というのは少し心もとない気もいたします。例えばインタープリターによるものではなくても、指導者育成研修を受けた環境施設職員等を活用したり、学習内容をもう少しライトなプログラム編成を考えたりといった工夫もできると思います。
 ぜひ来園者増を見据えたもりの学舎施設の取組・事業内容を多くの方に理解してもらい、触れ合う機会を増やす仕掛け方、リソーセスの確保を含めた環境整備を計画的に進めていただくよう、改めて要望いたします。
 あいち環境塾については、事業開始以降、既に三百名弱の方が卒塾していると伺っております。重要なのは、卒塾後、その方たちがどうしているのか、どれだけの方がどういった研究・実践活動が具体的に、例えば企業とのマッチングで成果、形となったのか見える化する、それによりさらに環境塾に入りたいと考える入塾希望者が増えるといった好循環につながると考えます。
 毎年度、事業を評価、検証し、カリキュラムの見直しや改善を図っているとのことですが、繰り返しになりますが、実社会への還元の視点から、卒塾生への積極的な追跡調査をかけつつ、課題を抽出して、環境分野のリーダーとして活躍する可能性が大いに期待できる卒塾生を支援する施策を実施していただくよう要望し、質問を終わります。

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