令和5年12月定例会(第3号) 本文 2023-12-06


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◯二十番(小木曽史人君)
 あいち民主県議団の小木曽でございます。
 通告に従い、私からは大きく三点質問をいたします。
 まずは、南米調査結果を踏まえ、南米との将来的な関係強化を見据えつつ、愛知県が現在南米との関わりとして取り組んでいる事業及びこれから新しく取り組んでいこうとする事業に対して、順次提案を含めて質問をしていきます。
 八月下旬、十日間の日程で、調査団十四名で五年に一度開催されるブラジル、アルゼンチンの愛知県人会行事の出席に合わせ、現地調査に行ってまいりました。
 別工程ですが、大村知事及び石井議長も時を同じくして南米に降り立ち、県人会行事をはじめ多くの関係機関を訪問するなど、積極的な現地交流を実施したとお聞きしております。
 調査概要や目的は、先ほど柳沢議員からお話があったとおりで、詳細は年明けに公表される報告書を御覧いただきたいと思います。
 所感としては、総じて両国とも潜在的なポテンシャルが高く、ICT化の促進を背景に、今後ますます政治的、経済的にも国際的な存在感を高める将来性を肌で感じるものでした。と同時に、これまでの戦前戦後移民の歴史の中で、日系人及び日系社会が不断の努力で培ってきた日本とブラジル、アルゼンチン両国との絆と信頼関係の醸成に対して、改めて深い敬意と両国との発展的な連携可能性、そして今後の関係強化に向けた積極的な人的交流の必要性を感じているところです。
 そこで、まずは総論として、最大の日系社会を擁する南米と愛知県がこれまで醸成してきた連携強化の取組の狙いと評価、それを踏まえ、国際社会での存在感を高めつつある南米地域に対する愛知県の取組と今後の関係強化の展望についてお伺いをいたします。
 続いて、海外スタートアップとの連携の可能性についてです。
 愛知県は、これまでも海外のスタートアップ支援機関や大学等と連携した取組を積極的に推進、複数の国や地域機関等とMOUを締結し、スタートアップの育成や海外市場への展開支援等の取組を着実に実施しております。
 そして、さらなる海外連携の推進に向けて、本年四月からは新たに海外連携推進課が設置、Aichi─Startup戦略のとおり、新たな国、地域との連携や人材交流等、海外スタートアップ支援機関との連携やSTATION Aiの開業に向けた海外への情報発信、イノベーション創出に係るグローバル展開への支援がさらに強化、充実していくと期待されます。
 今回訪問したブラジルやアルゼンチンは地政学上のリスクが少なく、広大な土地と圧倒的な資源・環境ポテンシャルがあるものの、日本が持っているような技術や資本が脆弱であり、土地や資源が少ない日本とは相互に非常にマッチした補完関係にあると言えます。特にブラジルは、コロナ禍を経てデジタル化が進行し、さらにスタートアップを進め、産官学連携の事業を積極的に展開しております。
 STATION Ai開業を見据え、世界最先端のスタートアップとの連携の重要性もさることながら、今後、物理的な距離感を感じさせないデジタル化の急伸を見据えつつ、遠くて近い今後国際的な存在感を高めていく対日友好国であるブラジルのポテンシャルを、愛知県にも誘引するようなスタートアップ連携も同時並行的に推進していく意義は十分にあると考えます。
 そこで、二〇二九年度までにリアルとリモートを含めて千社を誘引することを目標とするSTATION Aiについて、今は連携をしていない南米との連携可能性を踏まえつつ、今後の海外スタートアップの誘引にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 続いて、ブラジル・サンパウロ州とのMOU(友好交流及び相互協力に関する覚書)に基づく事業について伺っていきます。
 この覚書は、二〇一〇年、COP10での愛知目標採択を契機に、二〇一六年、その目標達成に向けて愛知県とサンパウロ州はじめ世界の六団体で国際先進広域自治体連合を発足、その後、愛知県環境部とサンパウロ州環境局の実務者レベルで協議を重ね、二〇一八年大村知事がサンパウロ州を訪問し、締結したと伺っております。
 その覚書に基づく具体的な事業がユース友好交流プログラムです。あいち生物多様性戦略二〇三〇の重点プロジェクトの一つとしても位置づけられている、国際連携の推進の取組でもあります。
 両地域の交流を通じたユースによる生物多様性の保全活動の活性化や人材育成を目的に二〇二一年度からスタート、取組や課題解決等を互いに学び合うプログラムをオンラインで実施していると聞いております。
 物理的な距離がある両地域の若者が、生物多様性という地球規模のテーマに向き合い、互いに社会課題を共有しつつ、解決策を模索する有用な取組であると認識をしております。
 まずは友好交流がメインであると理解をしておりますが、覚書に基づく事業であることから、単に意見交換をして終わるのではなく、より深く学び合える直接的な交流や共同研究事業として関係団体や大学等と連携し、継続的な具体的活動となるよう今後の発展的な取組を期待したいと思います。
 そこで、ユース友好交流プログラムにおいて、過去二年間のプログラムの実施を経て得た課題とそれを踏まえた今後の取組についてお伺いいたします。
 次に、かけ橋人材である南米日系人及び日系社会との関係強化について、日系ブラジル人及びアルゼンチン人との人的交流の促進と活躍の場を広げる取組という視点から伺っていきます。
 長年、勤勉、正直、礼儀正しい、親切といった日本人に対するイメージを醸成し、特にブラジル国内で信頼の置ける社会的地位を占める優秀な人材を輩出してきた日系人社会は、今後の日本とブラジル両国関係強化のための最大の強みであり、財産です。
 ただ、その日系人社会も世代交代が進み、今や六世まで誕生、日本人の血を引くというアイデンティティーが希薄化し、現地県人会事業への若手の参画の減少や、地方の日系団体の弱体化といった課題も出てきていると伺いました。
 一方で、南米調査において、サンパウロ日本国総領事は次のようにおっしゃっておりました。ブラジル社会における日系人社会の存在感は決して低下していない、ブラジルと日本は親和性の高いパートナー、今後、経済的な結びつき、強化が期待できる背景からも、歴史が培ってきた日本人への信頼感を継承し、さらに日本とブラジルの人的な結束を強める必要がある。
 私自身も両国発展のかけ橋となる日系人及び日系人社会との関係の維持強化の取組は今後ますます重要であると認識を新たにしたところです。
 その取組の一つとして、愛知県は海外移住者子弟留学生受入事業、いわゆる県費留学生として、ブラジル及びアルゼンチン在住の本県出身移住者の子弟を本県に招く事業を実施しています。これは、県内の大学等に一年間就学してもらい、愛知県を中心とした日本の文化、産業、教育等の理解を深め、母国及び現地日系人社会の発展に貢献してもらうことを目的としております。
 一九六三年以降、計百七十一名を受け入れ、二〇二〇年度、二〇二一年度はコロナ禍で受入れを延期したものの、本年度もブラジルとアルゼンチンから各一名ずつ愛知教育大学と名古屋市立大学にいらっしゃっており、先日、母県訪問団が来日され、県祝賀会に出席した際、御二方にお会いし、大学での学びや日常生活、帰国後の将来ビジョンなどをお伺いしたところです。
 そこで、まずはこれまで受け入れた留学生、言わば日本とブラジル及びアルゼンチンをつなぐかけ橋人材としての活躍が期待されるところでありますが、どのような活躍をしているのか、現地県人会への参画動向や本県とブラジル、アルゼンチンとの関係強化を含め、追跡調査を実施し把握しているのか、今後さらに活躍してもらうためにどういった取組が必要と考えるか伺います。  ただ、この事業における留学生の人選は県人会に委ねられており、年月を経て世代交代が進み、愛知県出身者の子弟であることの証明が困難であるなど、要件に合致した人選に大変苦慮しているという現状を県人会の方から伺いました。
 県税を活用する以上、愛知県にルーツを持つ方であるべきとの方向性は維持しつつも、移住経験者等の子弟を含むなど応募要件を緩和することで希望者が増えれば、例えば日本の大学研究ニーズに合致した人材を受け入れることで、愛知県留学後のキャリア形成や日本と両国との継続的な人材交流及びさらなる連携強化も期待できると考えられます。
 そこで、この県費留学生の応募要件の緩和について、県としてどのようにお考えなのか伺います。
 次の質問に移ります。
 これまで述べてきた南米との今後の関係強化も含めて、日本国内、そして愛知県においても、外国にルーツを持つ方々との共生の在り方が、今問われています。
 およそ三十年前の出入国管理及び難民認定法改正、そしてそれ以後の技能実習制度や特定技能制度などを背景に、愛知県でも日系ブラジル人をはじめ多くの外国人が住むようになりました。
 南米調査を通じて、現地県人会や関係者の方からは、そういった方々への相談支援を含む生活、教育、就労等々の共生支援を進める中で、南米で活躍している日系人のように、外国にルーツのある方々の活躍できる環境を日本国内で、愛知県で整えてほしいとのお話も多く伺いました。
 愛知県が一昨年度実施した調査によると、日本に住む外国人を対象にした愛知県外国人県民アンケート調査では、現在不安なこととして、日本語のコミュニケーションの割合が三五・五%と最も高い結果となり、愛知県民を対象にした県政世論踏査では、多文化共生社会の実現に向けて行政に求めることとして、日本語学習の支援が四四・五%に上る高い結果が表れております。
 他方、外国人県民が多いことに対しては、望ましくないとした回答が望ましいという意識と同程度になっており、二〇一六年度と比べても変化がないという調査結果が出ています。
 つまりは、コミュニケーション支援、いわゆるコミュニケーションツールとしての日本語教育の推進と、多文化共生社会への理解促進が課題であるということが見てとれます。
 もちろん、あらゆるライフステージでの生活支援や災害時や医療が必要となった場合の対応として、例えばICTツールを活用した多言語化などを拡充することも大切です。しかし、通常の社会生活の中で日本語によるコミュニケーションがある程度可能で、地域社会から孤立せず生活できれば、そういった生活支援や有事の際の困難を地域のつながりの中で補完、解消することができると考えられます。
 そういった意味で、日本で暮らす外国人にとって最大の障壁である言葉の壁を克服することは喫緊の課題であり、まずはコミュニケーションツールとしての日本語教育の充実、その質を向上させることが重要です。
 愛知県では、子供に対する学校教育現場での取組をはじめ、地域の日本語教室が自治体やNPO等の主体の下で、大人向けから子供向けまでの様々な形で運営されています。
 特に、大人の外国人でほとんど日本語を話せない方を対象とした地域の初期日本語教育を推進するため、県下市町村の指導者の育成、教室の開催を支援するモデル事業の今年度対象を三市町村に拡大して積極的に進めていると認識をしております。
 各市町村でも限られたリソーセスの中で知恵と工夫を凝らし、それぞれの事情に沿った形で日本語教育を推進しているとお聞きしておりますが、実際の地域の日本語教室の現場では様々な課題があり、大きく二つの声をお聞きしております。
 一つは、慢性的な担い手不足です。ボランティア頼みでの綱渡りの指導、運営を強いられており、善意の中でようやく成り立たせているのが現状とのこと。増加が見込まれる外国人の方に対して、今後も継続的に十分な学習をしていけるのか、不安を感じておられました。
 もう一つは、日本語習熟度に応じた教育の難しさです。子供から大人まで、そして在日歴や多国籍といった条件に対し、レベルに応じた集中的な習熟度別の学習をしたくても、担い手である指導者スキルも含めて非常に難しいとのことでした。
 つまり、現場では、教えるほうも教えやすい、教わるほうも分かりやすい、もっときめ細かな適切かつ効果的な日本語教育を実践したいとの強い思いが透けて見えます。
 初期日本語教育の入り口とその教室を卒業する出口、外国人の居場所でもある地域の日本語教室の中などで、客観的な指標で習熟度を評価し、ステップアップにつなげられるような学習の仕組みが求められていると考えます。
 そこで、県が進める初期日本語教室を含めた地域の日本語教室の担い手である指導者やサポートを行う人材の育成とその活動支援に対し、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 そして、愛知県地域日本語教育の推進に関する基本的な方針の中では、外国人県民の役割として、他の外国人県民の日本語学習を支援する側に立ち、外国人県民と日本人県民の相互理解を促進すると示されています。これまでの取組の結果、バイリンガルとして日本語も母語もある程度話すことができ、実際に活躍している外国人の方も大勢いらっしゃるはずで、今後さらに日本語教育を推進することによって、日本語学習支援の役割を担っていただいたり、地域のリーダー的な役割、日本人と外国人県民の方、相互理解を深めるかけ橋的な存在として活躍していただくことが期待できると考えます。
 そこで、外国にルーツのある方々が愛知県の多文化共生の取組にどのように関わり活躍しているのか、今後どのようにその活躍を支援していくのかお伺いいたします。
 最後に、中高一貫教育第二次導入校である地域を支える人を育てる学校について伺っていきます。
 愛知県は、二〇二一年に県立高等学校再編将来構想を策定し、中高一貫教育制度の導入に言及、第一次、第二次導入校合わせて合計十一校を設置することが公表されております。
 設置予定の中高一貫校のタイプの多くは、より専門性を持ったグローバルで活躍する高度人材育成を目的としたもの、不登校経験者や外国にルーツのある生徒を対象にキャリア形成を意識した丁寧な学びの実現を目的としたもの、モノづくり愛知にふさわしい専門性を身につけることを目的としたものなど、ある程度対象者や目的、必要な教育、学習内容が明確であり、内容がイメージしやすいものとなっております。
 また、中高一貫教育の仕組みも多くが併設型、つまり限られた定員枠内で物理的にも同一敷地内というオペレーションしやすい環境の中で、中高六年の継続したつながりのある学びとして、そのカリキュラム編成や教員の配置等も柔軟に対応でき、新たな設備投資も含めて、教育環境はその分かりやすい目的に沿ったよい方向に整えられていくと想像ができます。
 一方で、地域を支える人を育てる学校のタイプとして中高一貫校が設置されることとなったのがあま市にある美和高校です。
 名古屋市近郊ながら生徒の大部分が自転車通学している地域密着の高校で、数年前から学校運営方針の軸に地域活動を掲げ、生徒の主体性や積極性を育み、生徒自身が将来的にも地域で生き、活躍できる人材となるような取組を学校全体で進めています。
 具体的には、高校内に地域との連携を目的とした地域連携センター、美和高マインドというんですが、それを設立し、あま市や地元商工会、市民団体などの地域資源と関わりを持ちながら地域活動を実践しており、実際に私も多くの地元イベントに参画する美和高生をいつも誇らしく思い、応援している一人です。
 今回、その美和高校に設置される中高一貫校、ほかの多くの導入校と違うのは併設型ではなく連携型であるというところです。
 先ほど申し上げた美和高校の考え方を地元中学校と連携し、一体となって進めていくことは、これからの地域の発展に欠かせない人材を育成、輩出し、地域全体の活力を醸成する未来志向の取組であり、うまくいけばロールモデルとして横展開が期待できるところでもあります。
 ただ、公表資料によると、人口増と人口減が混在する都市近郊での中高の連携、接続のモデルを目指す中高間の教育課程の接続、連携や、教員、生徒間、地域、大学、専門学校間の交流を強化する、地域や大学と連携して中高六年間の発達段階に応じた継続的なキャリア教育を推進する等々、連携、接続、交流といった漠然とした文言が連なっております。
 また、連携、交流の強化の一例で、ICTを活用した遠隔合同授業、授業公開、地域指導者による合同部活動などが挙げられていますが、これまで美和高校が醸成してきた地域活動に根差した主体的な活動を踏まえた連携としては、目指すべき連携型中高一貫教育のあるべき姿が不明確で、具体的な取組が見えてこないような気がします。
 合わせて、この連携型中高一貫校は全国的に見ても増加傾向にはなく、どちらかといえば過疎化が進む郡部中心で進められているもので、名古屋市近郊で実施することは非常にチャレンジングな取組でもあると少々不安も感じます。
 そこで、まず、美和高校に連携型中高一貫教育を導入する理由と、どのような学校にしていきたいのか伺います。
 中高の連携は、地元中学校のカリキュラム編成にも大きな影響を及ぼすと考えられます。ただでさえ新たな学びの実践、ICT教育の推進、特別な支援を必要とする生徒への対応など、変化の激しい教育現場で御苦労されている中学校教員が、その調整等でさらに混乱や負担感が増す懸念も否定できません。
 そういった意味では、地元中学校を巻き込んだ連携による地域への影響は大きいと考えられるため、現場で働く中学校教員のみならず、当事者となる地元の中学生やその保護者を含めた地域の理解が大変重要であると考えます。
 そこでお伺いをいたします。
 来年度から連携対象中学校との連携を開始するとお聞きをしております。具体的な中身については年明け以降に、これまでワーキンググループで集約された意見を基に中高一貫教育具体化検討部会で検討されていくと認識しておりますが、時間もない中、連携型中高一貫教育の具体的な内容について、どのようなプロセスで地域の理解を得ながら検討を進めていくのかお聞かせください。
 このチャレンジングな連携型中高一貫校を地域ぐるみで支え、機能させていくには、県が主導しての人、物、金のリソーセスの支援は不可欠と考えます。連携対象中学校は、現段階ではあま市五校と大治町一校の計六校とする計画とお聞きをしております。
 全国的にも連携型の中高一貫校の連携対象中学校は一校から二校が多く、多くても四校程度となっています。連携校が多くなれば、それだけカリキュラムの編成、調整、現場でのオペレーションが複雑になるとも思われます。併設型ではなく連携型であるからという理由で、これまでのリソーセスの中で工夫して実施していくには限界があり、事実、全国の連携型中高一貫校では様々な支援を実施しているとお聞きしております。
 そこで、例えば新たな取組をプランニングし、連携、調整をする人、ICT環境整備等々の教育環境を整えることが必要だと考えますが、連携教育を実施するための人的配置の拡充を含めた環境整備について、どうお考えか伺います。
 さらに、美和高校は本年度、国の新時代に対応した高等学校改革推進事業の普通科改革支援事業指定校となり、二〇二五年度に新しい普通学科である地域社会学科の設置が予定されています。連携型中高一貫校という新たな取組を走り出しながら、一方でそれと複合させる形で現在の美和高校の中身を地域社会学科に再編成するという、全国初の試みを行うものと認識をしております。  そこで重要なのは、地域の理解と美和高校で学びたいと思ってもらえるような絵姿、より実践的で具体的な教育カリキュラムへの期待感です。
 近年大学でも、地域社会課題解決型の専攻過程が増えてきており、特に新設される地域社会学科が具体的な未来志向の地域社会の在り方を考え、課題を解決する実践的な研究をしている、そういった大学との結びつきを強くし、中高で培った学びを継続的に大学で行える連携強化はとても重要だと考えます。
 そこで、地域社会の課題解決に向けた探求的で実践的な学習に関する美和高校と大学との今後の連携の在り方についてどう考えているのか伺います。
 以上、明快な御答弁を期待し、壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯経済産業局長(矢野剛史君)
 今後の海外スタートアップの誘引についてお答えをいたします。
 STATION Aiへの海外スタートアップの誘引は、STATION Aiが世界に伍するグローバルコミュニティを形成するために重要な取組であると認識しております。
 現在の主な事業として、世界のトップレベルのベンチャーキャピタルと連携し、日本進出を目指す海外のスタートアップを支援するプログラムを実施しております。このプログラムをきっかけに、二〇二一年度からこれまでに十二社の海外スタートアップがプレ・ステーションAiのメンバーに加入したところでございます。
 また、STATION Ai株式会社においては、ソフトバンクグループが有するグローバルなネットワークを活用した海外スタートアップの誘致に取り組んでいるほか、海外スタートアップ向けオンライン入居説明会を定期的に開催するなど、継続的な誘致活動を進めております。
 県といたしましては、南米を含むこれまで連携関係のない国、地域も視野に入れつつ、STATION Ai株式会社と共に、こうした取組を引き続き強力に推進してまいります。

◯環境局長(川村正人君)
 愛知県と南米との関係強化の取組に係る御質問のうち、ユース友好交流プログラムについてお答えをいたします。
 この事業は、本県及びサンパウロ州の若者が、年二回オンラインで交流をするものでございます。過去二年の交流では、両地域の若者が環境や文化の違いを超えて、海洋ごみや海の生態系について議論する中で、人々の意識向上や海の温暖化という共通の課題を見いだし、保全の重要性に係る人々の認識を高める手法になどについて新たな知見を得るなど、貴重な機会となっておりました。
 一方で、交流成果の県内への普及と得られた知見の保全活動への活用が十分にできていないといった課題があるものと認識をしております。
 今後は、世代を超えてより多くの方に交流成果を共有していただくため、従前からの保全活動に携わる若者の交流イベントに加えまして、県内の様々な生態系保全団体の交流イベントにも新たに発表機会を設けるほか、交流成果をより分かりやすく具体的にまとめてウェブページに掲載してまいります。
 また、知見の活用についても、ユース友好交流プログラム参加者に対して、本県が支援をしております若者世代で構成される保全組織への積極的な参画を呼びかけ、交流の成果がこの地域の生物多様性の保全活動に十分に生かされるよう取り組んでまいります。

◯政策企画局長(沼澤弘平君)
 まず、海外移住者子弟留学生受入事業により受け入れた留学生の帰国後の状況の把握や、今後必要となる取組についてお答えをいたします。
 この事業は、ブラジル、アルゼンチンにおける本県出身移住者の子弟に対して、奨学金として学費や滞在費等を支給し、愛知県内の大学に研究生として就学していただき、帰国後の御自身の活躍につなげ、さらには現地日系社会の発展に貢献していただこうとするものでございます。
 これまで留学生からは、帰国後、愛知のことをPRしたい、愛知と県人会の活動を手伝い、日系人社会の発展に寄与したいなどの多くの意見を伺っております。
 また、県人会によれば、本県での留学を終えて帰国した留学生は、現在六十六名が会員として、会の運営や愛知との交流の窓口として御活躍いただいているというふうに聞いているところであります。
 今後は、これまでに構築した本県と留学生のつながりを活用し、留学生御自身のネットワークを通じて愛知の情報を定期的に発信していただくなど、愛知とのかけ橋になっていただくよう取り組んでまいります。
 次に、海外移住者子弟留学生への応募要件の緩和についてお答えをいたします。
 留学生の応募に当たりましては、本県出身移住者の戸籍謄本や除籍謄本等の公的書類を提出していただくことで、応募要件である本県出身移住者の子弟であることを確認しております。
 しかしながら、移住者から代を重ねたことで、留学希望者が当該移住者の本籍地があった市町村から公的書類を取り寄せることが困難となっているものというふうに認識をしております。
 本県といたしましては、海外移住者子弟留学生として受け入れた方には、帰国後、本県との交流の推進役を担っていただくことを期待しているところであり、公的書類が取得できないという理由で優秀な方が応募を断念することがないよう、適正な執行を確保しつつ、県人会の御意見もお聞きしながら、公的書類に代わる資料で可能とするなどの応募要件の緩和について検討してまいります。

◯県民文化局長(伊藤正樹君)
 外国人に対する日本語教育支援、活躍支援に関する御質問のうち、まず日本語教室の担い手の育成と活動支援についてお答えします。
 本県では、二〇一八年度から初期日本語教室のモデル事業と併せて、指導者養成講座を各地域で開催しておりますが、それぞれ委託先のNPO等の指導者養成方法が異なっているため、効果的な人材育成について苦慮していることが分かってまいりました。
 そこで、昨年度から指導者やサポーターなどの役割に応じて、統一的な養成方法を定める人材育成カリキュラムの開発に取り組んでおり、指導者養成講座で活用するとともに、市町村やNPO等に対してもこのカリキュラムの活用を促すことで、地域日本語教室の担い手不足の解消につなげてまいります。
 また、指導者が適切な指導を行うためには、生徒の日本語能力を把握することが重要であることから、昨年十二月に策定した第四次あいち多文化共生推進プランにおいて、本県独自の日本語能力判定ツールの開発を行う方針を掲げており、こうした取組により、地域日本語教室の活動をしっかりと支援してまいります。
 次に、外国にルーツのある方々の県の多文化共生に対する関わり方と今後の活躍に向けた支援についてお答えをいたします。
 県が実施する初期日本語教室では、外国にルーツのある方々に、外国人県民と教室をつなぐコーディネーターを担っていただいているほか、当事者としての立場から御意見をいただくため、各種会議の委員に就任いただいております。
 また、今月十九日に西尾市と連携して開催する災害時外国人支援活動講座では、地域の外国人キーパーソンにも御参加いただき、災害発生時に外国人県民が行政と連携、協力して支援活動を行うネットワークづくりにつなげてまいります。
 さらに、先月名古屋市内で開催した多文化共生フォーラムあいちでは、外国にルーツを持ち、愛知県で育ったタレントの方々に、自らのルーツを生かして日本で活躍していくことへの思いなどをお話しいただき、多くの参加者から相互理解の重要性や、外国人県民が活躍する社会づくりについて考えるきっかけになったとの感想が寄せられました。
 本県には、長期にわたって多くの外国人県民が居住されておりますが、今後もこうした方々に県の取組の様々な役割を積極的に担っていただき、地域社会においてリーダー的な存在として活躍いただけるよう、引き続き多文化共生社会づくりに取り組んでまいります。

◯教育長(飯田靖君)
 連携型中高一貫教育を導入する美和高校についてのお尋ねのうち、初めに美和高校に導入をする理由と目指す学校像についてお答えいたします。
 美和高校は、生徒の約半数が地元のあま市と大治町から通学をしている地域に密着した高校でございます。また、議員お示しのように、学校と地元自治体、商工会の関係者などから成る地域連携のための組織、美和高マインドを設立し、例えば総合的な探求の時間に観光振興のための新たな事業を考えて、市の観光協会に提案をするといった地域貢献活動に積極的に取り組んでおります。
 こうした美和高校の地域貢献活動に地元の中学生が参加をし、活動を通して地域への愛着を育み、地域についてさらに学びたいと思う生徒が美和高校に進学をしやすい環境を整えることで、中高の六年間をかけて地域に関する探求をより深めることができると考え、連携型の中高一貫教育を導入することといたしました。
 また、美和高校では普通科に加えて、今後地域に関する探求学習により多くの時間を充てることができる地域社会学科を新たに設置することとしております。
 この地域社会学科を核として、連携型中高一貫教育を推進し、地域愛と地域の課題を解決する力を育んでまいります。
 次に、連携型中高一貫教育の具体的な内容の検討を、地域の理解を得ながらどのように進めていくのかについてお答えいたします。
 連携型中高一貫教育の具体化に向けましては、今年度あま市及び大治町の教育委員会と地元中学校、美和高校、県教育委員会によるワーキンググループを開催し、地元中学校と美和高校が連携をして行う教育の在り方や、方向性について検討を行っております。
 これまでの検討で、中学生が高校の地域貢献活動に参加をしたり、高校生が中学校を訪問して一緒に地域に関する探求学習を行ったりするなど、中高が相互に連携をする教育の方向性がおおむね固まってまいりました。
 年明け以降は引き続き関係者で意見交換をしながら、実際に授業で行う探求活動のテーマなど、カリキュラムの詳細や地元中学校と連携教育を行うための年間スケジュールの調整など、さらに具体的な準備を行ってまいります。
 また、こうした準備と並行をして、連携する地元中学校の教職員をはじめ、生徒、保護者、御協力いただく地域の関係者に対し、連携教育の内容について説明する機会を設けて、地域の理解を得ながら進めてまいります。
 次に、連携教育を実施するためのICT環境や、人的配置を含む教育環境の整備についてお答えをいたします。
 美和高校と地元中学校で連携教育を進めるに当たっては、具体的な教育活動の計画やスケジュールの調整などを担うコーディネーター役の教職員が必要となります。
 また、中高間で遠隔授業を行うためのICT環境の調整や整備、遠隔授業を円滑に行うための支援員の配置なども必要になると考えられます。
 こうした教育環境の整備につきましても、しっかりと取り組んでまいります。
 最後に、地域社会の課題解決に向けた探求的で実践的な学習に関する美和高校と大学との今後の連携の在り方についてお答えをいたします。
 美和高校では、今年度文部科学省の指定を受け、地域社会学科の設置に向けて、地域の課題や魅力を探求的に学ぶカリキュラムと教育方法の研究開発に取り組んでおります。
 その中で、地域連携に関する学部や組織を持つ名古屋文理大学をはじめとする五つの大学の協力を得まして、生徒が夏休みに大学のゼミに参加をし、あま市の魅力を伝えるキャッチコピーを考えたり、地域おこしのイベントの成果や課題を分析したりする取組を行いました。
 今後は、五つの大学を中心に連携の幅を広げることで、地域に関する探求学習への生徒の意欲を一層引き出し、大学進学後の学びにつなげてまいります。
 こうした取組により、連携型中高一貫校となる美和高校の地域に根差した教育内容をブラッシュアップし、地域の未来を支える人材をしっかりと育ててまいります。

◯知事(大村秀章君)
 小木曽史人議員の質問のうち、南米地域との関係強化について私からもお答えいたします。
 この点は先ほど柳沢議員からも南米との関係について御質問がありました。改めて南米地域に対するこれまでの取組と今後の関係強化についてお答えをいたします。
 現在、ブラジルには約百九十万人、アルゼンチンには約六万五千人の日系人の方が在住しておられます。愛知県からも多くの方が移住をし、これまで幾多の困難を乗り越えながら、現在では現地社会の一員として確固たる地位を築かれておられます。
 こうした中で、一九五八年にはブラジル愛知県人会が、一九七一年には在アルゼンチン愛知県人会が設立され、移住者子弟家族の親睦や日本との友好関係の促進、また移住者への支援などが行われているところであります。
 本県は、一九五三年にブラジル、アルゼンチンを訪問したのを皮切りに、一九八三年から五年ごとにブラジル愛知県人会や在アルゼンチン愛知県人会の式典等に出席するため、県議会の皆様方と訪問するとともに、両国の皆様を母県訪問という形で愛知県にお招きし、県内各所を御案内するなど相互交流を深めております。
 一方で、経済の面でもブラジル、アルゼンチンには県内の自動車産業をはじめとした多くの企業が現地へ進出しておりまして、両国において雇用創出や貿易の拡大などの経済発展に寄与をしているところでございます。
 このような中で、二〇一六年に行われました生物多様性条約第十三回の締約国会議において発足をいたしました愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合(GoLS)の創立メンバーとして、ブラジル・サンパウロ州と協力関係を構築し、二〇一八年には友好交流及び相互協力に関する覚書を締結いたしました。この覚書では、環境、特に生物多様性保全をはじめ、経済成長、観光、文化にわたる分野において協力することといたしております。
 このように、南米、とりわけブラジル、アルゼンチンとは歴史的にも経済的にも本県との結びつきが強い地域でありますので、今後とも、相互交流を深めながら、幅広い分野で協力をしてまいりたいと考えております。

◯二十番(小木曽史人君)
 知事はじめ、それぞれ御答弁ありがとうございました。
 先ほど知事のお言葉にもありました南米との連携強化につきましては、そういったMOUを結んでいるというところの素地をぜひ生かしつつ、このスタートアップ連携を今後進めることも可能でしょうし、先ほどのユース友好交流プログラム、こちらも既存事業も発展的に捉え直して事業発展することもできると考えます。
 そして何より、かけ橋人材である県人会の皆様が日本、そして愛知県を応援していただいていること、これまでのつながり、絆に思いを致しつつ、今後も母国で誇りに思える、そしてますます御活躍いただけるような積極的な取組を県には期待したいと思います。
 それでは、二点について要望いたします。
 まずは、外国人の日本語教育支援、活躍支援についてです。
 先ほど局長からは、日本語教室の担い手のための人材育成カリキュラムの開発を現在進めているとの答弁でした。
 技能実習制度、特定技能制度の改正、日系四世の在留要件緩和などの議論が国で進んでおります。
 選ばれる国との前提に立てば、日本語教育が必要な外国にルーツを持つ方々は、ここ愛知県でも今後増加が見込まれます。そのためには、先手でやれることはやって、身構える姿勢が必要だと考えます。
 第四次あいち多文化共生推進プランの計画期間は二〇二七年まで、あと四年間ありますが、言うまでもなく支援ツールの開発はその開発の有無がその最終年度の評価ではなく、開発して普及させ、その効果検証まで行い、さらに課題を抽出できるまで、PDCAを一周回して初めて事業の評価です。
 そういった意味でも、時間がかかるであろう普及の入り口である開発はもう少しスピード感を持って進めていただきたい。現在開発中の人材育成カリキュラムは可及的速やかに、ここ一、二年の間にでも実際に活用できるような形にすべきです。
 あわせて、推進プラン記載の日本語能力を把握するための日本語能力判定ツール、この開発も早急に着手して進めていただくよう要望をいたします。
 最後に、美和高校についてです。
 先ほど教育長は、高校、そして地元中学校にもコーディネーター役の教職員やICT教育を円滑に行う支援員が必要との認識の下、しっかり取り組んでいくと非常に前向きに御答弁をされました。
 併設型のような大がかりな施設整備がないだけに、やはり中身で勝負、ソフト的な教育環境の充実が必須です。
 さらに、教える側の教員にとっては、高校側、連携中学校側にも連携という新たな業務が生まれるわけです。教員の多忙化解消の観点からも、プラスアルファの人的配置は当然と考えられます。
 連携が始まる来年四月には、その充実させた体制でスタートしていただくことを強く要望して質問を終わります。

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