令和6年2月定例会(第6号) 本文 2024-03-06


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◯二十番(小木曽史人君)
 私からは、歳出第二款総務企画費第六項防災安全費のうち大きく二点、順次お伺いしていきたいと思います。
 まず一点目、防災政策・啓発事業費に関係する防災意識の向上のための取組についてです。
 一月一日、能登半島地震が発生し、多くの貴い命が失われ、火災や建物の倒壊、家具の転倒等でけがを負った方も大勢おられます。心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。  一日も早い復旧・復興を心からお祈りするものですが、激しい揺れや液状化も含めた、道路や水道等の生活に欠かせないインフラの損傷はひどく、復旧には時間がかかり、避難所生活は長期化するものと思われます。
 この状況を他山の石として、浮き彫りになった教訓や課題を整理し、愛知県の防災施策にしっかり組み込んでいくことがこれから求められます。
 そのベースとなるのは、まず何よりも命を守るために防災意識を高め、防災に向けた行動変容につなげる効果的かつ持続的な啓発であると考えます。
 愛知県や県下市町村では、これまでも防災意識の醸成を粘り強く推進し、その意識に下支えされた災害備蓄品の準備や充実、家屋の耐震診断や耐震補強、家具固定の補助制度の創設など、各種防災施策を実施していると承知をしております。
 そして、昨年九月二十五日から十月二十五日にかけて、二〇二三年度防災に関する意識調査が実施され、年明け早々に結果が公表されました。
 この調査は、二年ごとに実施、来年度まで一年間延長された第三次地震対策アクションプランに基づく各種防災施策、具体的なアクション項目の効果測定、運用の在り方などを見直すための評価指標とも言えます。
 主な調査項目は、南海トラフ地震等の大規模災害への関心度、家具・家電転倒防止対策の実施有無とその理由、災害備蓄品の準備状況、地域自主防災活動への参加経験等々、県民への、基本的な大災害への認識や構えを問うものとなっています。
 結果については既に公表されておりますので詳細は申し上げませんが、南海トラフ地震等の大規模災害への関心は高いが、備えへの具体的行動という意味では前回調査と比べ微増もしくは横ばいで、例えば家具・家電固定の実施については約六〇%弱で横ばい、固定しない理由は、面倒、固定方法が分からない、費用がかかる、固定しても被害が出るからしないという半ば諦めとも取れる回答も多く見受けられます。
 能登半島地震発生の前に実施された調査であるため、現時点で調査をすればまた違った結果が出た可能性はありますが、いずれにしても、南海トラフ地震をはじめとする大規模地震はいつ起きてもおかしくないという危機感を持ちながら、なかなか、自助、共助を促す行動変容につながらない、危機感に対する自衛策をなかなか講じない状況が見て取れます。
 そこで、まずは、今回、県当局から発表のあった防災に関する意識調査の結果や、能登半島地震による県民の防災意識の高まりを踏まえた上で、今後どのように地震防災への意識を高めて行動変容を促していくのか伺います。
 関連して、地震体験車、いわゆるなまず号ですけれども、その利活用について伺っていきます。
 地震体験車は、県として三台配備、県庁に一台、東岡崎の西三河県民事務所に一台、豊橋の東三河県庁に一台とお聞きしておりますが、県下市町村や消防本部経由で貸し出され、小中学校での防災教育、地域での防災訓練や防災イベントでの啓発に使われております。
 東日本大震災をモデルにしたシミュレーションが可能で、AR、VRによる疑似体験が加速度的に普及する中でも、実際の揺れを体感でき、また、家具がどのような動きになるのか、映像ではなく自ら体験することでリアルに危険性を感じることができる、分かりやすい有用なものと認識をしております。
 そして、この地震体験車による啓発の実施については、第三次あいち地震対策アクションプランの中で、体験者を年間五万人程度とする数値目標が設定をされております。
 配備当初や大震災を契機に目標を達成する年もありましたが、近年では年間三万人前後と減少をしているようです。
 能登半島地震による防災意識の高まりを受け、今後県下各地で自主的な防災訓練が行われると思われます。私の地元でも新たに地域の自主防災訓練を実施していこうという動きが出てきており、実際に、まずは恐ろしさを体験したい、地震体験車なまず号を呼びたいという声をいただいております。
 そこで、より多くの県民の方々に、実際の揺れを体感し、地震の怖さを知っていただくため、今後、地震体験車による啓発を県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 続いて、二点目、ゼロメートル地帯における広域的な防災活動拠点の運用について伺っていきます。
 大規模災害時に浸水が危惧されるゼロメートル地帯で、いざというときに円滑な救出・救助活動の拠点として、愛西市では供用を開始、西尾市、弥富市、豊橋市の三か所で計画的に整備が進められております。
 この拠点は、いわゆる避難所ではなく、浸水で孤立した集落や病院、施設等の要救助者を救出、救助し、安全な場所へ移送するための一時的な場所として、私の覚えている限りでは、今から約二年前、令和四年度の当初予算説明の中で、この拠点を活用した、海部地域における広域一時滞在、いわゆる広域避難の運用等について検討を進めるとされました。
 広域避難とは、文字どおり市町村の行政界を超えた広域での避難体制の在り方のことであり、近年の災害の激甚化や広範囲化から、内閣府もその必要性、重要性をうたい、取組を進める基本的な考え方を示しております。
 具体的には、拠点は要救助者を一時的に受け入れ、その後はすぐに浸水域外の安全かつ環境の整った避難所等へ移送することが本来の目的であるため、拠点から中継地を経るならどこを経由して、そこからどこへどうやって移送するのかが恐らく運用として検討されるのだろうと推察はできます。
 海部地域では、愛西市及び弥富市の二か所を広域防災活動拠点として、連携して運用を図る必要がありますし、大規模地震等の災害による浸水域は広範囲にわたり、要救助者数も多数に上ると想定されることから、より広域に、海部地域の隣接市町村に限らず、尾張地方全域を対象としてその移送先を確保する必要があるとも思われますので、その検討、調整にはある程度時間がかかるとは承知をしております。
 ただ、検討開始からおよそ二年が経過し、今回の予算の概要の中でも同様の記載、引き続き検討を進めますとなっていますが、そろそろ、どういった構想で運用していくのか、ある程度具体的な青写真をいつまでにアウトプットするのかを明確にしていただきたいと思います。
 そこで、ゼロメートル地帯、特に海部地域において整備を進めている拠点を活用した広域避難についてどのように検討をされているのか、その現状と今後の取組についてお伺いをいたします。

防災安全局長(木村吉誠君)
 まず、地震防災への意識を高め、行動変容を促す取組についてお答えします。
 地震災害から命を守るためには、日頃から県民一人一人が、自分の身の安全は自ら守ることを自覚し、住宅の耐震化や家具の固定、食料、飲料水の備蓄等、地震に対する備えを心がけていただくことが大変重要であります。
 このため本県では、十一月第二日曜日をあいち地震防災の日と定め、毎年あいち防災フェスタを開催し、県民の方々が楽しみながら防災に関心を持っていただくイベントを開催しております。  また、お住まいの地域で想定される震度や津波浸水深、過去の土地の利用状況等を簡単に調べることができる愛知県防災学習システムを活用いただけるよう、県のウェブページで公開するとともに、様々な啓発パンフレットの作成、配布や、家具固定推進員の派遣等を通じて、地震防災への意識を高めるための取組を進めております。
 議員お示しのとおり、過去実施した防災に関する意識調査では、東日本大震災や熊本地震の発生後にはいずれも、大規模災害への関心が前の調査と比べ十ポイント以上増加しており、今回の能登半島地震発生を受け、県民の方々の地震に対する関心は高まっているものと推測されます。
 このため、引き続き、きめ細かな広報啓発活動に心がけるとともに、新たに不動産仲介事業者と連携し、若い世代を対象に家具固定を促す広報活動を行うことにより、日頃、防災に関心を寄せない方々に、地震への備えに取り組んでいただけるよう、一層の防災意識の向上を図ってまいります。
 次に、地震体験車による啓発の取組についてであります。
 地震体験車は、地震の揺れを疑似体験することができ、また、県内各地に派遣できることから、多くの県民の方々に地震に対する正しい知識と備えの必要性を理解していただく上で大変有効な啓発手段であります。
 このため、県では現在、地震体験車を三台保有し、防災訓練や防災フェスタ等の県主催のイベントで使用するとともに、市町村や防災のための愛知県ボランティア連絡会の構成団体等に貸し出すことにより、様々な場所で県民の方々に地震の揺れを実際に体験していただく機会を設けております。
 昨年度は、延べ二百八十四会場に地震体験車を派遣し、三万一千百一人の方々に御利用いただいたところであります。今後、より多くの県民の方々に、地震に対する理解を深め、大規模地震に備えていただくためには、地震体験車の活用をさらに図っていく必要があります。
 県といたしましては引き続き、ハウジングセンター等多くの人が集まる施設に地震体験車を派遣するとともに、貸出対象に、新たに県が防災協定を締結している事業者も加え、避難訓練などの社内行事で活用いただくことといたします。
 こうした取組を通じて、多くの県民の方々の家庭における地震への備えを一層加速させてまいります。
 次に、海部地域における広域避難の検討状況と今後の取組についてお答えいたします。
 県内四か所に整備することとしておりますゼロメートル地帯広域防災活動拠点を活用し、大規模災害時に迅速、円滑な救出・救助活動を行うためには、この拠点の運用に加え、救助された方を移送するための経由地となる中継拠点の選定、運用、さらに、中継拠点から広域避難先の避難所への移動までの運用を定めておく必要があります。
 本県においては、二〇二三年三月の愛西市における広域防災活動拠点の供用開始に合わせて運用マニュアルを策定し、訓練を通じて毎年マニュアルの検証を行っております。
 特に、海部地域の広域避難には市町村域を超えた検討が必要であります。このため、海部県民事務所と海部地域の七市町村で構成する海部地域津波・浸水避難研究会に防災安全局も参画して、十八か所の中継拠点を候補地として選定するとともに、二〇二三年三月にはその運用マニュアルを策定いたしました。
 また、中継拠点から近隣市町村への広域避難については、海部地域を含む西尾張地域の十四市町村で締結された愛知県西尾張市町村の災害対応に関する相互応援協定の枠組みを活用し、本県も積極的に関与しながら、避難元と避難先市町村のマッチングに基づき、広域避難の運用に必要な調整を行っております。
 引き続き、さらなる中継拠点候補地の選定や、必要となる資機材及び広域避難先までのルートや移動手段などの検討を進めるとともに、図上訓練や、関係市町村、消防本部、防災関係機関などと共に実動訓練を積み重ねることにより、大規模災害時に海部地域において円滑な広域避難が可能な体制を確保してまいります。

◯二十番(小木曽史人君)
 御答弁ありがとうございました。
 それでは要望いたします。
 地震体験車なまず号の利活用についてですが、答弁で貸出対象を協定締結事業者に加えるとありました。
 貸出対象を広げるのは結構ですが、ハイシーズンでは市町村からの貸出要望に十分応えられていないという現状もお聞きをしております。
 貸出予約の方法を見直すことで稼働率を上げることができないか、三台の地震体験車の稼働率にばらつきがあるため平準化できないか等、より多くの機会で活用されるような運用の改善をぜひ御検討いただきたいと思います。
 また、オフシーズンや空いているところで地域の自主防災訓練に活用したいという要望に応えられるよう、市町村に対して積極的な利活用を促していただくよう要望をいたします。
 広域防災活動拠点を活用した広域避難については、十八か所の中継地点が選定され、西尾張地域十四市町村の避難元と避難先市町村の具体的なマッチングを含めた検討が具体的に進んでいると理解をいたしました。
 地元では拠点のことを、市町村が指定する避難場所や避難所と誤解している声も耳にしますが、それは、この拠点がその後の運用を明確に示していないからとも言えます。
 海部地域に住む方にも拠点の運用を具体的に知って理解してもらうことが、いざというときに、拠点を中心とした、安全、迅速かつ的確な救出・救助活動につながると思いますので、ぜひ県のリーダーシップを発揮して、可及的速やかに、関係機関、関係市町村と調整を進め、公表できる部分は随時公表していただくことを要望し、質問を終わります。

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