令和7年警察委員会 本文 2025-03-14

【小木曽史人委員】
 私からは、運転免許に関係して二点、自動車盗に関係して一点、質問する。
 まず一点目、運転免許関係の外国人免許の切替え、いわゆる外免切替えについてである。予算に関する説明書では歳出第8款警察費、第1項警察管理費、第2目警察本部費と第4目運転免許費に関係するところである。
 外免切替えに関しては予約サイトが短時間で定員に達し、多くの切替え希望者が切替えできずにいることを12月定例議会の本委員会で課題提起し、今後も外国人住民数が増加するであろうことから先を見越したマンパワーの拡充を含めた対策の必要性を訴えた。
 そこで、まず改めて外免切替えにおける課題認識について伺う。

【運転免許課長】
 外国の行政庁等が発給した運転免許証を日本の運転免許に切り替える、いわゆる外免切替えの件数について2024年中は7,255件で前年対比プラス916件であった。県警察として書類審査の予約が取れないといった声があることは承知しており、多くの切替え希望者がいること、また今年度から自動車運送業が特定技能制度の対象となったことなどに鑑みると、外免切替えに関して体制の強化を含めた対応能力の向上等が必要であると認識している。

【小木曽史人委員】
 そうした状況の中で来年度当初予算では書類審査手続の円滑化を目的に書類審査に関わる担当者、いわゆる外国免許切替審査支援要員、非常勤であるが、これを2人増員すると聞いている。  この増員によって書類審査件数の増加が期待できると思われるが書類審査件数がどれほど増加することで、現状の予約枠数が具体的にどれほど増加すると見込んでいるか伺う。

【運転免許課長】
 県警察では、2025年度に外国免許切替審査支援要員として一般職非常勤職員2人を運転免許試験場外国免許切替審査係に増員配置する予定としており、これにより外免切替えの書類審査件数を増加させることができるものと考えている。
 一方、書類審査は従来の外免切替えに加え、今年度から導入された特定技能制度の対象となる人の外免切替えの事務も行うので、特定技能制度の対象者の増減により従来の外免切替えの書類審査件数が左右されることから、現時点では具体的な予約枠の増加見込みについて示すことは困難である。
 今後、外免切替えに係る環境の変化等へ柔軟に対応しつつ、増員された職員を早期に育成するとともに、業務の合理化、効率化をより一層推進することで予約枠の拡大を図るなど、円滑かつ適正な外免切替えに努めていく。

【小木曽史人委員】
 特定技能制度の対象の増減により従来の外免切替えの書類審査件数が左右されるから予約枠の見込みを示すことは困難だとの答弁であったが、運送業等で外国人ドライバーとして特定技能の対象者は、今、予約サイトを使っているが、別で予約枠を設置し、その後の書類審査、知識確認、実技確認といった手続を優先的に実施していくことになるのか。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのテーマパークのファストパス的なことになるのか。つまり先ほどの答弁は、特定技能枠が、増えれば今までどおり予約しにくい予約サイトの状況は変わらない可能性があるとの理解でよいか。

【運転免許課長】
 特定技能制度の対象として来日した外国人は外免切替えによる運転免許の取得等、必要な環境が整うまでの間、特定活動の在留資格で活動する。この資格はトラックの運転で半年、バスやタクシーの運転で1年間有効であり、この間に外免切替えやバス等の運転の場合、第二種運転免許を取得する必要がある。
 この外免切替えを従来の外免切替えと同じ取扱いにすると、場合によって在留期間がなくなり帰国せざるを得ない状態にも陥りかねないので、個別の状況に応じて柔軟に対処する必要がある。
結果として特定技能制度の対象となる者は従来の外免切替え対象者よりも、その手続を優先させる場合がある。
 なお、特定技能制度の対象となる者からの手続の申請については他の外免切替えの者の受付、予約サイトとは別に専用のメールアドレスを設けて出入国在留管理庁や、この対象となる者を雇用している企業等と連携して受理している。

【小木曽史人委員】
 特定技能の枠は十分に、これからの状況によるが確保されることは理解できたが、最初に答弁があった多くの切替え希望者がいることを認識している中で、もう少ししっかりその部分に対する対策を取るべきだと思う。
 前回12月にもベトナム人の原付免許の外免切替えが4割を超えるといったことがあったが、そこを別枠にするシステム開発や、実技確認のボトルネックの課題もあるため、そうしたところもまだ改善できる余地があると思う。
 実技確認もボトルネックだと聞いているので、その部分に人数的なキャパシティがあり限界があることは承知している。安全が何より優先なので合格基準が今は70点か何かだと聞いており、それを下げることは絶対いけないと思うが、基本的な安全確認、最初に実技確認するための前後の確認であるとか後方確認であるとか、実技確認で指摘、減点されがちな注意すべきポイントなどを多言語で事前に学べる仕組みとしてホームページに入れるとか、ジャストアイデアであるが、そうした工夫をして実技確認の整流化を図ってもよいと思っている。いずれにしても、審査は適正厳格に、手続は円滑迅速に、今後も取り組んでもらうよう要望する。
 続いて、運転免許関係のマイナ免許証への切替えについて伺う。
 いよいよ3月24日から切替えが始まる。運転免許証のみ、マイナ免許証のみ、2枚持ちの3パターンであるとのことで、オンライン講習が可能になったり更新手数料が少し安くなったりとのメリットがあることも承知している。
 優良運転者なら、更新時に近隣の警察署でマイナ免許証への切替えが可能と聞いており、それ以外で切替えを希望する者は平針の運転免許試験場もしくは東三河運転免許センターに出向く必要があると聞いている。
 そこで県警察では、まずどの程度の県民がマイナ免許証に移行すると想定しているのか。また3月24日以降、マイナ免許証への切替えに関して運転免許試験場及び東三河運転免許センターの体制を含めて、具体的にどのような準備を行うのか伺う。

【運転免許課長】
 初めに、マイナンバーカードと運転免許証の一体化、いわゆるマイナ免許証への移行がどの程度になるかの質問に答弁する。
 マイナ免許証が導入されることで、運転免許証の保有形態を任意に選択できるようになるが、その保有形態ごとにメリットが異なるので、現時点ではどの程度の者がマイナ免許証を利用するかについて具体的に示すことは困難である。
 総務省のデータによると、本年2月末現在で愛知県民の約8割の者がマイナンバーカードを保有しており、徐々にだと思うが一定数の者がマイナ免許証を利用すると考えている。
 次に、体制を含めた準備について答弁する。
 来年度以降はマイナ免許証に係る事務処理に必要な人員を確保するために、マイナ免許証導入委託費で事務の一部を民間に委託する。また、委託事業が始まるまでの3月24日から31日までの間は法改正直後の円滑な制度の運用に向け、運転免許試験場及び東三河運転免許センターに応援の職員を派遣し、マイナ免許証に関する事務に対応する。
 加えてマイナンバーカードと運転免許証の一体化に関する事務については、来庁者が迷わず手続が行えるようマイナンバーカードへの記録を行うための専用の部屋を準備し、当該事務を集中的に行うことで混雑緩和等に努めていく。

【小木曽史人委員】
 想定はできないと思うが、ただ一定数の利用が見込まれるとのことである。できる限り待ち時間の少ない、迷わずスムーズな手続ができるように柔軟な職員配置を含めた体制を整えてほしい。  一方で、先ほど保有形態ごとのメリットが異なると答弁があったとおり、いわゆる更新時に保有形態を変更する場合や、更新時以外に保有形態を変更する場合など、どこでどの手続ができるのか非常に複雑な印象を受ける。県民に分かりやすく周知するために、今後どのように取り組んでいくのか伺う。

【運転免許課長】
 マイナ免許証の制度については道路交通法の改正に伴い全国斉一に導入されるが、運転免許証の保有形態が免許保有者の意向により3パターンに分かれ、さらに保有形態ごとにメリット、デメリットが異なるなど複雑なものになると承知している。
 マイナ免許証に関する各種事務手続については県警察ホームページにその詳細を掲載しているほか、更新時期に郵送する更新連絡書や高齢者講習等の案内にも記載している。また、マイナ免許証の情報を広く県民に周知するため、今月6日にマスメディア向けの説明会を開催したところ、テレビ局各社においてマイナ免許証制度の概要等について取り上げられた。引き続き、交通安全講話等あらゆる機会を活用して制度の周知に努めていく。

【小木曽史人委員】
 マイナ免許証への切替えが始まることは皆が結構知っていると思う。ただ先ほどから言っているとおり、具体的に自分の保有形態、一般か、優良か、高齢者かとか、そうしたことに合わせて、もしマイナ免許証に切り替える場合には事前準備として何が必要か、どこでどのタイミングで手続が可能かを正確に知っている者はまだまだ少ないと思う。
 もっと分かりやすく示す必要があると思うので、現在でも様々な問合せ等が多くあると思う。主な問合せ内容をいわゆるQ&A方式でまとめて県警察ホームページ、アプリなどで県民に分かりやすく目につく形で公表するだとか、あとは自身の免許保有形態を入力すると手続が必要書類も含めてフローとして表示されるなどの仕組みは簡単につくれると思うが、そういった工夫をして広報周知していく考えはあるのか伺う。

【運転免許課長】
 県民からのマイナ免許証に関する意見等を踏まえ、よくある質問とその回答を取りまとめた資料を県警察ホームページに掲載していきたい。また、県警察ホームページにおいてAIチャットボットを活用し、手続について案内することを検討するなど、より分かりやすい制度の周知に努めていく。

【小木曽史人委員】
 3月24日以降、円滑スムーズな手続ができる体制をつくっていくことを要望する。
 最後、三つ目である。
 自動車盗対策について質問する。歳出第8款警察費、第2項警察活動費、第1目警察活動費の中である。自動車盗の認知件数は2003年をピークに以降大きく減少していることは承知しているが、昨今また増加傾向にあり、昨年の愛知県における自動車盗の認知件数は全国ワーストとなったのは承知のとおりである。
 犯罪手口も組織化、巧妙化、広域化している中、増加傾向に歯止めをかけるよう、検挙対策と未然防止対策の両輪を強化していく必要があると考えており、来年度に向けた取組について質問する。まずはその前提として、自動車盗の現状と傾向について検挙事例を伺う。

【刑事総務課長】
 当県における昨年中の自動車盗の認知件数は866件で、前年、令和5年と比較し168件増加しており、小木曽史人委員指摘のとおり全国ワーストであった。また、本年も2月末現在の認知件数は183件で、前年同期と比較して77件増加し全国ワーストである。被害に遭った車種の傾向としてはランドクルーザー、プリウス、アルファードの3車種が被害全体の6割以上を占めており、組織的な自動車盗グループが特定の車種を狙って犯行を繰り返しているものと見ている。
 こうした中、県警察では昨年ランドクルーザーなどの高級自動車を対象に犯行を繰り返していた実行役を検挙するとともに、海外輸出等を目的として盗難自動車を受入れ保管等をしていた違法なヤードを摘発するなどした。
 また、本年に入ってからも、アルファードなどを対象に自動車盗を繰り返していた実行役のほか車台番号を偽造した上で中古車市場などに流通させていた不正登録役、犯行道具の管理役、犯行の指示役などからなる組織的な犯罪グループを検挙している。

【小木曽史人委員】
 昨年は検挙件数も1位と聞いているが、実は犯罪が非常に多くなっているとのことで検挙率は20パーセント弱でワースト2位と聞いている。今年に入っても2月末時点で昨年比77件の増加で、特定車種を狙った被害を拡大させる組織的な犯行が多数とのことで、対策は急務であると感じる。
 そこで来年度に向けて、全国ワースト脱却に向けた今後の検挙対策について伺う。

【刑事総務課長】
 県警察においては、全国ワースト脱却に向けて自動車を盗む実行役、犯行の指示役、盗難自動車の運搬役など、自動車盗グループの構成員の検挙のほか、盗難自動車の解体ヤードなど、グループの犯行を助長する犯罪インフラの摘発に至るまで組織的な犯罪グループを撲滅するための捜査を重点的に実施していく。

【小木曽史人委員】
 今後、犯罪グループだと見張り役や運搬役など、闇バイトを雇いながら、いわゆる匿名性、流動性を持つような組織化がされる危険性もはらんでいる。実態解明とグループ全体の一斉検挙に向けた取組を強化してほしい。
 検挙対策と同時に重要なのは、そもそも自動車を盗まれないようにする未然防止対策が重要であり、かつ最も有効であると思う。
 そこで来年度に向けて、全国ワースト脱却に向けた今後の未然防止対策について伺う。

【生活安全総務課長】
 県警察においては、関係事業者、団体と緊密に連携し、自動車メーカーに対してセキュリティー性能の向上を働きかけ、愛知県自動車盗難等防止協議会に自動車関連窃盗情報報奨金制度を運用させるなど、自動車盗の未然防止対策を推進してきた。
 また、特定の車種が狙われている実態を踏まえ、あらゆる警察活動を通じて特定車種ユーザーに防犯指導するなど、ユーザーへの直接的な広報啓発を推進していく。
 今後もこのような対策を発展的に継続するとともに、特定車種ユーザーには防犯カメラやハンドルロックの活用など複数の防犯対策をしてもらえるよう、創意工夫した情報発信に努めていく。
【小木曽史人委員】
 特定車種ユーザーに対して直接街頭や戸別訪問で注意喚起し、防犯指導を実施していると聞いているが、特に戸別訪問の結果はしっかり持ち帰って分析し、以降のパトロール強化等にも生かしてほしいと思う。
 また、被害上位3車種、先ほど答弁にあったランドクルーザー、プリウス、アルファードについては昨年、所有者に対策実施の聞き取り調査を行ったとも聞いている。結果としては皆が盗まれやすいことは知っているが、標準装備のほかに例えばハンドルロックや、タイヤロック、追跡装置や防犯カメラなど二つ以上の対策をさらに実施しているかとの問いに対しては僅か10パーセント程度だったとも聞いている。
 例えば、自動車販売店等に働きかけて車両購入の際には追跡装置などオプション機能の追加や盗難対策機器の購入を勧めてもらうなど、一度検討してもらえればと思っている。
 最後である。
 全国での盗難多発車種はランドクルーザー、プリウス、アルファードに次いでレクサスLX、同じくレクサスRXであり、上位5車種が公表されているが、それ以降の順位として昨年6位から10位がハイエース、ハイゼット、クラウン、レクサスLS、キャリイだと明らかになった。ここで注目すべきは、7位のハイゼットと10位のキャリイである。いわゆる軽トラックが盗難被害の標的となっている。
 そこで、本県の軽トラックと軽四貨物自動車の盗難被害の現状について伺う。

【刑事総務課長】
 当県における昨年中の軽トラック等軽四貨物自動車の盗難被害件数は24件で、前年と比較して11件増加した。また、本年2月末現在の盗難被害件数は1件で、前年同期と比較して1件減少している。
 この種の盗難被害の傾向としてはエンジンキーを付けたままや、施錠をせずに駐車し、エンジンキーを車に置いたまま車を離れている間に被害に遭うケースが多く認められている。

【小木曽史人委員】
 昨年の被害総数が866件で、そのうち24件とのことで件数的には多くないと感じるが、対前年比で11件増加していることを考えると今後増加する可能性も否定できない。
 最後に質問する。
 先ほど答弁があった軽トラック等の盗難被害の現状を受けて、今後、県警察としてどのように取り組んでいくのか伺う。

【生活安全総務課長】
 先ほど説明した実態を踏まえ、僅かな時間であっても車から離れる際はエンジンを切り、施錠することを徹底するなどの広報啓発を推進していく。

【小木曽史人委員】
 当然のことだと思う。ただ、軽トラックは農業とか建設業など特定の業種で広く使用されているため、例えば農業団体とか建設業団体に対して注意喚起することも必要なのではないか。
 また、特に農林漁業関係者が多いのどかな農村地域でキーのつけっ放し、車中への置きっ放しが多いと容易に想像できるため、そうした地域には関係機関を通じて重点的に注意喚起を行ってもらうよう要望し、質問を終わる。

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